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同人誌イベントへの参加・執筆 未経験者が、技術書典5で頒布に至るまで

何度かアカン的な感じになりながらも、技術書典5で本を出す事ができた経緯をつらつらと語りつつふり返ってみる。


どこに参加してきたの

2018/10/8に開催された技術書典5にサークル参加してきました。

技術書典とは、達人出版会とサークルTechBoosterが主宰する技術書イベントで、技術をテーマにした同人技術書の即売会となっています。

来場者数は春の技術書典4の約6,340人から1.6倍ほどUpの10,000人超と、大盛況なイベントで初参加にもかかわらず、サークル側で参加という。
今思えば、よくサークル側で参加したなぁ感が、これ書いてて思えてきた。


スペースに集まった皆さん、いろいろ手伝って頂いたコミュニティの皆さん、
会場サイズが前回と比べ3倍の面積にもなったにも関わらず大きなトラブルもなく
最強な運営をしてくれたスタッフの皆さん本当にありがとうございました。

どんな感じだったの執筆活動

はじまり

前々から書きたい事はいろいろあって、どこかでまとめて出したい思いあったけど、背中を押すキッカケになったのはココからでしたねぇ。

何を書いたの

ちょっと前から、QtのPythonバインディングをいろいろ試していた事もあり、Technical PreView版のQt for Pythonを題材に、もっとQtを使ってもらえるような環境構築〜GUI作成までの一連の内容を網羅した、初心者向けの技術書の執筆を選んでみました。
(QtQuick系は@IoriAYANEさんが、Meta-build系は@hermit4さん辺りが書いてきそうだったので、なんとなく被らないネタがコレだった。
あと、Alexa Voice Service + Qtや、QMLやwidget系での動的多言語変換なんかも考えてたけど、いろいろな意味でコアすぎな気がしたのでやめてしまった。)

イベント当日までどうだった?

応募と当選

7/17
自分のスケジュールを確認しつつ、ちょい死亡フラグ立つぐらいだろうと軽い気持ちで
7/19応募終了日の2日前に応募。
ジャンルや頒布物の内容を書くだけかと思いきや、サークルカットの登録あり。
サークルカットとは???とソコで固まる...。
テンプレートのlinkもあったけど、そもそも何か分からない。もはや未知の世界。
とにかく応募後から、同人誌とは?の基本的な事から同人誌を出すまでの内容を学びまくる。

8/1
応募数500超えのサークルの中から、470超の枠に入ってしまったという
当選メールが届いちゃうという奇跡が起こる。
(当選できませんでした=執筆するのやめちゃおう的な、かなり後ろ向きな考えを持っていた事もあり、当選した事に衝撃を受け、後に引けない感じになる)

イラスト依頼

8/2
なんとなく会社の同僚に、イラスト書ける人紹介してもらおうとお願いしてみる。
(できれば知らない間柄の方が、なんとなくいろいろ頼みやすいなぁ的な思いはあった)
「私チョットデキル。いや私しかいない」と2つ返事でサクッと紹介を依頼した同僚に決まりプレッシャー合戦が始まる。

イラスト全体感/テーマ/日程感を伝える。
書籍内のイラストやサークルカットは日程的に厳しい感はありありなので、そこの部分をMarkdownコメントアウトしてPDFをにしたものを渡す。

「本当にコレだけですか?」

とプレられ、コメントアウトを外し書籍内のイラストやサークルカットもお願いしちゃう事に!
いつもの仕事っぷりの如く、予想を上回るクオリティと、早めの期日で圧倒的に仕上げてきてもらい、はや原稿を落とす事が許されない状況になる。

執筆活動前準備
  • 執筆環境は、Re:VIEWでやると決めてたので環境構築を速攻で済ます。(順調
  • 執筆リポジトリはなるべくお金をかけず、かつPrivateにしたかったのでGitLabを初めて使い出す。(順調すぎる
  • 執筆準備
    • 書籍のタイトルと目次 決定。 (結構、早めに決まる
    • 執筆内容に沿ったサンプルアプリも、そこそこ早くできてしまう。(順調すぎて怖い

これ、お盆休み中に完成しちゃうんじゃねぇ?って感じで、俺スゲーっと完全に安心しきってしまう。

アカン執筆時間

平日、まとまった時間が取れない事は分かってたので、週末の日数計算でスケジュールを立てる。(パパさんエンジニアは、週末の自分時間が圧倒的に無いことを、もうすっかり忘れてて絶望的なデスマが始まる。)

それでは、入稿までのパパさんエンジニアの週末を見てみましょう

7/ 23 リポジトリ Initial commit
7/ 4週目 GitLabのwikiや issuesのlist/Board/Label 作成に、無駄に時間を費やす。
8/ 1週目 子供の夏休みの宿題の進捗100%、自分の進捗0
お盆休み 気がつくと、急な海外出張でお盆休みなし - 執筆進捗0で絶望。
ただし、イラストは順調に来てしまう。
8/ 4週目 執筆以外で勉強会等参加 / 子供がケガ
- 予想外の出来事で、Total執筆進捗 数%
9/ 1週目 全力で執筆! - 遅れつつも、Total進捗30-40%
さすがに焦ってきて、ここから睡眠時間 1/2削っての平日執筆開始
神風の台風 予想外の執筆時間が確保できる - Total進捗50%
9/ 1週目 何故か子供のサッカー大会が!奇跡的に勝ち進み土日がサッカーDay (執筆どこ
9/ 2週目 身内が入院で遠征&100%子供に全力投球 (ねぇ、ねぇ執筆は?
絶望になりながらも、何とか執筆は終え校正フェーズへ
9/ 22-23 運動会 (えっと、校正は?執筆は?
9/ 22 当初の締め切り期限 (当然1回目の校正作業間に合わず!延長9/25へ)
9/ 25 延長した締め切り期限 (気持ち的にも締め切りたい!が、校正1回目しか進まず諦める)
9/ 28 これ以上過ぎたら、後ろ指刺される締め切り期限
(直前にページ数変更で、表紙のチェックをイラスト書いた人に
ギリギリに再度チェックしてもらう粗相ありながら
なんとか入稿)

 

アカン、レビュー・校正

ほんとゴメンナサイ、ゴメンナサイ
<レビュー>
僕:  「Python系のレビューお願いします!」出勤前にメッセ
友人:「Python系重点的にチェックするけど、納期何時?」
僕:  「今日中!」
友人:「逝ってこい」
校閲
僕:  「校閲お願いします!」出勤前にメッセ
友人:「100P以上あるけど、今週中(7日間))でOK?」
僕:  「今日中!」
友人:「ちね」

入稿までに諦めたこと
  • Re:VIEWでの執筆で、CI環境つくってウハウハ
    ->実現せず
  • オリジナルな組版作成
    ->まったく時間がなく、TechBoosterで利用しているRe:VIEWのテンプレート
     techbooster-doujin.styスタイルをそのまま活用
     (PDFの出力だけは、hyperrefパッケージハイパーリンク関係を変更する)
  • ページ数を80Pぐらいにしてほどよい感じに仕上げる
    ->章毎に執筆内容を確認していた為、
     気づいたら140Pオーバーとなっている事に気づく。
     1章削る。Code添付も抜粋や、サンプルコードを参照しとして減らすも120Pが限界。
     (印刷費用が1.3倍に!)

技術書典5 直前・当日どうだった?

売り子さん

10/3の段階で被チェック数*1 70ぐらい。全員が来る訳でもないので80%ぐらいの試算で55ぐらいと見積る。イベント時間が11:00-17:00の6時間なので、10人/H。
だいたい6分毎に販売すればいいと考え、当日は売り子なしのつもりで挑む覚悟を10/4にするも、


で完全にガクブルになる。
そして前日の被チェック数で140超えしてて、死亡フラグが立つ。

@nekomatuさんや@shin1_okadaさんの好意で3日前の10/5に急遽売り子が決まる!しゅごい。

@nekomatuさん -> 急遽売り子がこれなくなった@hermit4さんのサポート
@shin1_okadaさん -> 僕のサポート

と最強な布陣を手に入れる。

最終的な被チェック数が184だったので、売り子の助けがなかったら、100%死亡してました。
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当日の運営は?

サークル

き07 eMbLogサークルとして、Qt関連のサークルが5つも並ぶ中の1角にて頒布!



頒布物

イラストが良すぎちゃった事もあり、

  • 物理本は、予算的・初技術書典でニーズも分からないから 60冊 程度しかない。
    ->表紙画像をつけたPDFのダウンロードカードを物理本に付けよう。
     ただし、ダウンロードカード単体も配るのでおまけ程度に、PDFを書籍と同じ
     モノクロPDFにする。
  • 個人的には物理本も見るけど、圧倒的にPCやタブレットで見ることが多い。
    ->表紙を多くの人に見て欲しいからダウンロードカードをポストカードサイズで印刷。
     こっちは、見ながらモクモクできるように、見やすいカラーのPDFを配布。
     せっかく技術書典5に足を運んで見てくれるので、後日のWebでの販売よりは
     ちょっとでも安く提供したい。
  • サブキャラQtちゃんもっと認知させたい。
    ->ステッカーを刷ろう

っと財布が盛大に緩み、頒布は

  • 物理本 + ダウンロードカード(モノクロPDF) 60冊
  • カラーPDF ダウンロードカード 100部 (50部刷るつもりが、100部でも値段が変わらなかった)
  • オマケ用 Qtちゃんシール 100部

という、無謀は数を準備することに

支払い方法

どのくらいキャッシュレスの需要があるかも知りたかったので
現金以外にも、技術書典 かんたん後払いpixiv PAYを登録。(他のメジャーな決済方式って無いんですかねぇ)

頒布結果

一度、入場制限があったものの、基本的に制限なしでかつ、ある程度参加者が見て回れるぐらいの絶妙な混み具合だったことや、


Python人気もあり、

  • 物理本
    - 開始後1:15ぐらいで 60冊 完売。
  • カラーPDF ダウンロードカード 71部
    - おつりの¥100が無くなって終了。

と予想を上回る販売でした!


支払いの比率は、

現金 73%
技術書典 かんたん後払い 23%
pixiv PAY 4%

の割合でキャッシュレスの支払いは、ほとんど技術書典 かんたん後払いが多かったです。
公式Toolって事もあるけど、UIも含め使い方がシンプルで、レスポンスもよく頒布のオペレーションもスムーズにやれたのが技術書典 かんたん後払いが多く使われた理由ではないかと思います。

まとめ

良かった点、次も続けたい点

  • Re:VIEWでの執筆は、文章を書くにはMarkdownを書く感じで集中して書ける、次も使いたい。
  • 表紙をお願いする。もしくは誰かと共同で執筆する。
    一緒に物を作り上げていく中で自分以外からOutputが出ると、
    原稿落とせない適度なプレッシャーと、何がなんでも世に出さいといけない
    気持ちになりいい感じにいろいろな作業に締まりがでてくる。

反省点

  • 時間をつくって、もっといろいろな人に書いたもののレビューや校閲を頼めば良かった。
  • デザイン等は、もう少しイメージをシェアした方が、イラストを書く人の負担が減るみたいな事を言ってたので、自分の嗜好も込みでもっとディスカッションすればよかった。
  • 技術本は一つの技術をまとめていくので、wikiやQiitaと違う事を痛感。
    事前の調査内容や、サンプルアプリをつくれても執筆する時間は
    ちゃんと確保するのは必要。
    技術書典の季報の言葉に重みが凄いある。

「残りの日数ではなく、休日(自分が本当に休みになる日)を数えるんだ」

次にすること

  • 執筆をする前までの日程を含めた段取り大事。
    もっと細かくある程度のマージン持った日程間をもって
    スケジュールを作って印刷20%UPの期限や、翌日便締切期限の
    誘惑に惑わされない。
    執筆以外のタスクも、ちゃんと把握しておく。
  • ダウンロードカードの運用方法なんかは、結局どれがベストプラクティスか
    分からなくて短縮URLQRコードにして配布したけど
    技術書典でダウンロード頒布している所をみると
    • concaや、対面電書などのサイトを活用。(印刷は、自前だったり、バリアブル印刷だったり)ダウンロード自体に制限をかけていた。
    • パスワードとBOOTH経由でのダウンロード先を配布
      配布物にパスワードをかけて、ダウンロードは誰でもできるけど、
      閲覧制限をかけてる。

っと何かしら制限方法をかけていたので、次回はちょっとやり方を考えたい。

さいごに

自分的には執筆作業とかは70点ぐらいの点数しかつけれないけど、自分の伝えたい技術を多くの人に伝える事ができたことだけは、100点満点という気持ちで終われる技術書典最高です!


イラストを描いてもらった同僚には、いろいろと教えてもらう事が多く
また多分、自分一人なら落としてたかもしれない状態だったのを、最後までいろいろとフォローしてもらったおかげで、今回無事本が出たと思ってて、感謝しきれないです。ありがとう。

*1:参加者が、当日チェックしたいサークルをチェックする機能があり、自分のサークルが加えられた数、だいたいの頒布予測がつく。